【経済シミュレーションで比較】卒FIT後は蓄電池と売電継続どっちが良い?選び方の注意点も解説!

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太陽光発電は、2019年より順次FITの買取期間10年を満了する、いわゆる卒FITという大きな節目を迎えています。 卒FITは2019年問題とも呼ばれますが、その対象となる物件数は具体的にいえば年間数十万件にものぼります。
このような状況下で、太陽光発電業界から熱い注目を集めている存在が蓄電池です。
太陽光発電のあり方が問われる今、なぜ卒FITで蓄電池の導入を検討する人が増えているのでしょうか。
本記事では、卒FIT後に蓄電池の導入すべきかを経済的な視点のシミュレーションから検証していくとともに、蓄電池の選び方の注意点も併せて解説していきます。
卒FIT後の選択肢は売電継続と自家消費の2択
卒FIT後も従来通りに売電重視を継続すべきか、それとも違う方針を取るべきか悩んでいる太陽光発電オーナーの方は多いでしょう。
ここでは、卒FIT後の太陽光発電で取りうる2つの選択肢を、より詳細に分解して解説していきます。
- 卒FIT後もそのまま売電する
- 自家消費重視に切り替える
卒FIT後もそのまま売電する
卒FIT後の1つの選択肢が、そのまま売電を継続することです。 蓄電池は導入せずに、自家消費しきれなかった余剰電力はすべて売電します。 FITの買取価格と比べると、卒FIT後の買取価格は大幅に安くなりますが、今までの生活スタイルを変えずに売電収入を得られます。
売電を継続していく場合でも、さらに次の2つの選択肢があります。
- 自動更新で今の電力会社へ売電する
- 新電力会社の新たな買取プランに契約する
自動更新で今の電力会社に売電する
卒FITを迎えると、当初契約した条件でのFIT買取は終了しますが、何もしなければ現在契約している10電力会社の新買取プランへと契約が自動的に更新されます。
もちろん、買取価格はFIT価格よりも大幅に下がることになります。 2020年6月現在、大手10電力会社の卒FIT後の後の買取価格は以下のとおりです。
大手電力の買取メニュー
※スクロールでご確認いただけます。
北海道電力 | 6/27発表 | 8円/kWh、 8円+北電ポイント/kWh |
---|---|---|
東北電力 | 5/30発表 | 9円/kWh、 預かりプラン(電気使用量から差し引き) |
東京電力 | 6/27発表 | 8.5円/kWh、 預かりプラン(詳細は後日発表) |
中部電力 | 4/24発表 | 7~8円/kWh、 8.1円相当/kWh(Amazonギフト券)、7円+2WAONポイント/kWh |
北陸電力 | 4/26発表 | 8円/kWh、 年間定額プラン(1.5~3.5万円/年) |
関西電力 | 4/22発表 | 8円/kWh |
中国電力 | 4/23発表 | 7.15円/kWh |
四国電力 | 4/22発表 | 7円/kWh、 預かりプラン(電気使用量から差し引き。150kWh超は8円買取) |
九州電力 | 6/6発表 | 7円/kWh |
沖縄電力 | 6/3発表 | 7.5円/kWh |
出典:資源エネルギー庁「更なる再エネ拡大を実現するためのエネルギー需給革新の推進 〜需給一体型モデルの活用〜」
買取価格は、再エネの電力供給量や電力消費量などの電力事情から、電力会社によって7円/kWh〜9円/kWhとばらつきはありますが、おおむね約8円/kWhほどと見て取れます。
再契約や他社プランの検討が面倒な方は、この選択もあるかもしれませんが、次の選択肢をよく確認してから決めるほうが良いです。
新電力会社の新たな買取プランに契約する
電力自由化に伴って設立された新電力会社の新買取プランに契約することも、売電継続する場合のもう1つの選択肢でしょう。
2020年6月現在、多くの新電力会社が買取価格8円以上を設定しており、10円以上の買取価格を設定している会社も少なくありません。
(単位:円/kWh)
北海道
東北
東京
中部
北陸
関西
中国
四国
九州
沖縄
備考
トレーディング
岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県
※右スクロールでご確認いただけます。
出典:資源エネルギー庁Webサイトより(電気またはガス小売メニューとのセット限定や申し込み資格が限定される事業者は除く)、2020年3月閲覧
FIT買取価格を上回る買取価格は設定されていませんが、それでも従来の大手10電力会社よりも数円ほど高い買取価格が設定されています。 そのため、今の電力会社との契約が自動更新される前に、各社の新買取プランを比較検討してみるべきでしょう。
今後は、顧客獲得のために競争が激しくなり、さらに買取価格が上がる可能性もあるので、検討する際は最新情報を入念にリサーチするのがおすすめです。丸紅エネブル蓄電池では、お客様に合った買取プランのご紹介も可能です。
自家消費重視に切り替える
これまで余剰電力はすべて売電するのが経済メリットがありましたが、上述したように卒FIT後は買取価格が大幅に下落します。 加えて、新たな買取価格は電気料金単価よりも大幅に安くなるため、売電するよりもできる限り自家消費した方が電力料金の支払いを抑えることで経済的になるのです。
このような観点から、卒FIT後は「自家消費重視に切り替え」というもう1つの選択肢があります。 自家消費重視の場合にも、次の2つのアプローチがあります。
- 日常生活を変えて余剰電力を減らす
- 蓄電池を導入して余剰電力を貯めて使う
日常生活を変えて余剰電力を減らす
1つ目が、日常生活を変えることで太陽光発電が発電する昼間の時間帯の電力消費量を増やし、これまでより余剰電力を減らしていくパターンです。
とはいえ、日常生活を突然大きく変えることは、仕事や学校などもあるため容易ではありません。
コロナ禍をきっかけとして在宅勤務やオンライン授業などが推進されれば、ある程度は昼間の消費電力を増やせる可能性が出てくるかもしれません。
蓄電池を導入して余剰電力を貯めて使う
もう1つのパターンが、これまで売電に回していた太陽光発電の余剰電力を、できる限り蓄電池に貯めて自家消費で使う考え方です。 蓄電池に充電した電力は、朝方や深夜など太陽光発電が発電しない時間帯に利用することで、電力会社からの電力の購入費用を節約できます。
普段の生活を変えずに自家消費を増やせるので、入居者の行動に制限や負担がかかりません。
また、停電した際に、蓄電池の電力を非常用電源として利用できる点も、大きなメリットの1つといえるでしょう。
この場合でも、蓄電池を導入したときに最適な売電プランの見直しが、合わせて実施したいアクションとなります。
卒FITの蓄電池と売電継続を経済シミュレーションで比較
では、具体的に数字で卒FIT後に蓄電池を導入することは経済メリットがあるのか、シミュレーションで確認していきましょう。
シミュレーション条件は、次のとおりです。
-
- 太陽光発電システム容量
- 4.6kW
-
- 年間発電量
- 4,600kWh(システム容量の1,000倍とする)
-
- 年間電力消費量
- 5,600kWh
-
- 買取価格
- 8.0円/kWh
-
- 電気料金単価
- 24.1円/kWh
こちらの条件で、以下の2つのパターンの電気代を算出して、最終的に蓄電池の設置費用を含めて経済メリットがあるのかを検証します。
- 蓄電池は導入せず売電スタイルを継続
- 蓄電池を導入して自家消費スタイルへ切り替え
なお、本シミュレーションは簡単のため、太陽光パネルや蓄電池の劣化や電気代や買取価格の変動を考慮せずに計算を行います。
蓄電池は導入せず売電スタイルを継続
まずは、蓄電池を導入せずに従来どおり余剰電力はすべて売電するパターンでシミュレーションをしていきます。
このとき、自家消費率は住宅用太陽光発電における平均30%というデータを用います。
【年間の電気代】
年間電力消費量 5,600kWh × 電気料金単価 24.1円/kWh = 約13.5万円
【自家消費による電気代削減】
年間電力消費量 5,600kWh × 自家消費率 30% × 電気料金単価 24.1円/kWh = 約4.0万円
【売電収入】
(年間発電量 4,600kWh ―(自家消費利用分 年間電力消費量 5,600kWh × 自家消費率 30%)× 買取価格 8.0円/kWh = 約2.3万円
上記のシミュレーション結果から、売電スタイルを継続した場合の電気代は年間で約9.5万円、売電収入を差し引くと実質的に支払う金額は年間約7.2万円となります。
蓄電池を導入して自家消費スタイルへ切り替え
次に、蓄電池を導入して余剰電力はなるべく蓄電して自家消費に回し、自家消費で使えない余剰電力のみ売電するパターンでシミュレーションしてみましょう。 現在の住宅用太陽光発電の平均的な自家消費比率(実績)は概ね30%となっていますが、蓄電池導入により約70%まで向上させられると想定してシミュレーションを行います。*1
※なお、ご家庭による電気の使用状況により前提条件が異なります。詳細シミュレーションは丸紅エネブル蓄電池までお問い合わせください。
【年間の電気代】
年間電力消費量 5,600kWh × 電気料金単価 24.1円/kWh = 約13.5万円
【自家消費による電気代削減】
年間電力消費量 5,600kWh × 自家消費率 70% × 電気料金単価 24.1円/kWh = 約9.5万円
【売電収入】
(年間発電量 4,600kWh ―(自家消費利用分 年間電力消費量 5,600kWh × 自家消費率 70%))× 買取価格 8.0円/kWh = 約0.5万円
*1 (ドイツ貿易・投資振興機関(Germany Trade & Invest) 、2019年)(p.2:蓄電池の利用により、平均で太陽光発電による発電量のの自家消費率は平均で(現状の)35%から70%以上まで増加する)
上記より、蓄電池で自家消費スタイルへ切り替えた場合の電気代は年間で約4.0万円、売電収入を差し引いた実質の電気代は年間約3.5万円となります。
卒FIT後の蓄電池導入は経済メリットあり
上記のシミュレーション結果より、支払う電気代は自家消費が増えるため、②の蓄電池を導入したパターンの方が年間で約3.7万円ほど経済的なメリットがあるとわかります。
ただし、売電スタイルは蓄電池の導入コストがかかっていないため、このままでは単純に比較ができません。なお、卒FIT太陽光発電のパワーコンディショナは、10年前後で更新するのが望ましいと言われる時期をちょうど迎えているため、後述するハイブリッドタイプの蓄電池を選ぶことで、パワーコンディショナの交換も兼ねてしまうという選択肢が有力です。
そこで、ハイブリッドタイプの蓄電池の設置費用も含めた場合に経済メリットはあるのか、検証してみましょう。 ここでは、仮に容量が6.5kWhの蓄電池を導入したとします。なお、蓄電池の仕様により製品代、設置環境により工事費は異なります。
- 蓄電池の製品代:15.5万円/kWh × 6.5kWh = 約100万円
- 蓄電池の工事費:約20万円前後
注)なお、Sii (※)の蓄電池補助金を含んだ金額です(製品1kWhあたり2万円 + 工事費の1/2(上限5万円))
蓄電池の補助金は、条件を満たせば本製品の場合13万円、工事費は上限の5万円の合計18万円を取得できます(補助金の募集期間や予算には留意が必要です)。
さらに、通常別途更新が必要なパワーコンディショナの製品代と工事費には合わせて約40万円程度かかるため、これを蓄電池の製品代から引くと、上記前提の場合、実質的に蓄電池の設置にかかる合計費用は、約76万円です。
蓄電池導入のための実質コスト
(6.5kWh、ハイブリッドタイプ、補助金利用の場合(単位:万円))

つまり、①と②の差分である蓄電池を導入した年間経済メリットは約3.7万円でしたので、20年以上経過すると蓄電池の設置費用を回収し、収支が逆転します。
以降は、年々3.7万円ずつ電気代の削減効果が得られるわけです。
蓄電池の耐用年数(メーカー保証年数)は10年〜15年ですので、メーカー保証年数を超えてしまい、経済メリットが大きいとは現時点で言いにくいですが、万一の災害時などに停電を回避できる価値や自分の家の太陽光発電で生活できることによるエコ貢献の価値も考慮すると、蓄電池の導入メリットは十分にあるといえるでしょう。 ご家庭での電気の使い方や太陽光発電の大きさ次第では、蓄電池導入による経済メリットが大きくなる可能性もあります。現在、そのような蓄電池導入の経済メリットを計算するためのシミュレータを絶賛発売中です。
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卒FITの蓄電池を選ぶときの4つ注意点
経済シミュレーションから、卒FITでの蓄電池導入に優位性があることがわかったところで、次に気になるのは実際に蓄電池を選ぶときに注意すべき点でしょう。 卒FITで蓄電池を導入する場合、基本は後付けが前提となるため、卒FITならではの注意点もあります。
そこで、ここでは卒FITの蓄電池選びの注意点を、次に上げる4つのポイントをもとに確認していきましょう。
- 蓄電池の初期費用がかかる
- 蓄電池の設置条件に適した設置場所を確保する
- 蓄電池の機種は太陽光発電メーカーで絞られる
- ハイブリッドタイプ蓄電池は既存設備の交換工事
蓄電池の初期費用がかかる
先ほどのシミュレーションでも金額を算出しましたが、蓄電池の導入には初期費用がかかります。 蓄電池が登場した当初に比べると、かなりこなれた価格になってきたとはいえ、決して安い買い物ではありません。 工事費を除いて少なくとも数十万円、容量によっては100万円を超えることもあります。
太陽光発電投資ではローン利用も一般的ですが、現時点で蓄電池は収益性が低いため、手元資金から捻出したほうが賢明です。 今後は、卒FITや電気代の上昇による蓄電池需要の高まりから市場価格の下落も見込まれますが、Siiや地方自治体の補助金を活用して負担軽減を図りましょう。
蓄電池の設置条件に適した設置場所を確保する
蓄電池は、サイズが大きく重量も重いため、設置場所の確保に苦慮する場合があります。 最近では、エアコンの室外機程度やそれより小さいサイズも増えてきましたが、単に蓄電池を設置するスペースだけでなく、点検スペースも考慮しなければなりません。
また、屋内設置の場合は換気の良い場所、屋外設置の場合は直射日光に当たらない場所などの制約も出てきます。 購入前には、販売店や蓄電池メーカーに設置条件は十分に確認するようにしましょう。丸紅エネブル蓄電池では、都度メーカーと連携して確認していますので、ご安心ください。
蓄電池の機種は太陽光発電メーカーで絞られる
蓄電池は、太陽光発電システムと連携しますので、太陽光発電メーカーが認定した蓄電池を選びましょう。 太陽光発電メーカーの認定外の蓄電池メーカーを連携してしまうと、太陽光発電のメーカー保証が対象外となってしまう場合があります。 太陽光発電と蓄電池の相性もあるため、場合によっては蓄電池を連携したことで双方いずれかで不具合やトラブルが発生することもありえます。 その場合、メーカー保証対象外なので、メーカーへ修理や交換対応を依頼することもできなくなります。
卒FITの場合、蓄電池のメーカーや機種が太陽光発電システムのメーカーに依存するため、完全に自由に選べるわけではないものの、近年では蓄電池メーカーのほとんどが、多くの太陽光発電メーカーに対応していることも事実です。
ハイブリッドタイプ蓄電池はパワーコンディショナの交換工事が必要
卒FITの物件には、当然ですがすでに太陽光発電システムが設置されています。 そのため、ハイブリッドタイプ蓄電池を選択すると、既存の太陽光発電システムのパワーコンディショナの交換が必要となる点に注意したいです。
蓄電池には、太陽光発電と蓄電池のパワーコンディショナが兼用になっているハイブリッドタイプと、蓄電池専用のパワーコンディショナを使用する単機能タイプがあります。 ハイブリッドタイプの蓄電池の方が、単機能タイプに比べて太陽光発電で発電した電力を効率的に蓄電池へ貯めることが可能です。また、パワーコンディショナが太陽光発電と合わせて1つで済むため省スペースにもなります。さらに、前述のとおり、卒FITの太陽光発電は、そのパワーコンディショナが10年の更新時期を控えていることが多いため、これを機にパワーコンディショナの更新を兼ねてしまえることも大きなメリットです。 しかしながら、既存の太陽光発電のパワーコンディショナを取り外して交換、ケーブル配線などを見直さなければならないため、追加の工事費用が発生する可能性もあるので、ハイブリッドタイプ蓄電池の優位性と天秤にかけて、どちらを選択すべきかよく検討しましょう。
卒FIT後の蓄電池導入は検討の価値アリ
卒FIT後は、太陽光発電の売電を継続していくか、それとも蓄電池を導入して自家消費重視に切り替えるかという選択を迫られます。
蓄電池の導入に初期費用はかかるものの、今回の経済シミュレーションの結果から、パワーコンディショナの更新も兼ねて蓄電池導入+自家消費重視の方針には経済メリットがあることがわかりました。さらに、自家消費率を高めることは、よりエコな生活な実現にも繋がります。
また、電気代の高騰や蓄電池価格の下落といった周辺環境もふまえると、蓄電池の導入は十分な経済的な効果を期待できそうです。
卒FIT後のアクションとして、買取プランの見直しと合わせて、蓄電池の導入を検討してみる価値は十分にあるといえるでしょう。

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